俳優や女優というのは、画面やスクリーンを通して、さまざまな人の目に触れる職業です。つまり、目立つことが好きだったり、人前でパフォーマンスをすることに喜びを覚えるといった方は、俳優や女優に向いているでしょう。それに加えて、「自分が一番になりたい」という野心を持っていることも大切です。そういうエネルギッシュな内面が、いわゆるオーラとなって表れ、人々を魅了します。しかしながら、ただ騒がしかったりという悪目立ちをするのではなく、同時に場の空気を読むことに長けているというのも、俳優や女優に求められるスキルです。それは、演技は基本的に1人で行うものではないからというのが理由です。つまり、共演者との絶妙な掛け合いがスムーズにできるようになるためにも、言葉では説明のつかない「場の空気を読める」という適性は重要だと言われています。

俳優や女優は台本によって、自分本来の性格や考え方とは全く違うような人物でも演じ切らなくてはなりません。それは、与えられた台詞を読むというだけではなく、見ている方にリアリティを感じさせるような説得力のある演技が求められるということです。そういった演技をするためには、俳優や女優は人間が持っているさまざまな感情を理解している必要があります。では、プロの俳優や女優は、どうやって自分の中にある感情の引き出しを増やしているのかというと、それはずばり人間観察にほかなりません。自分とは違う人間をしっかりと見て、どういった特徴を持っているのかを正確に理解できる観察力がある方は、俳優や女優に向いています。しかし、「今の自分には、そういった力がない」という方でも、たとえばカフェに訪れた際、「隣の見知らぬ人はどんな人間だろう」と自分なりに考えてみたりすることで、観察力を高めることは可能です。また、声マネや仕草のマネなどを行うには、相手をしっかり見ることが必要ですので、自分なりにモノマネにチャレンジしてみるのも方法のひとつです。

ドラマや映画を見ても分かるように、実際にスクリーンの前に映るのは俳優や女優だけですが、こういった作品は数多くのスタッフに支えられてできています。つまり、さまざまな人と交流を持つのが好きという方も、俳優や女優に向いている性質と言えます。コミュニケーション能力が高いとも言えますが、ここで勘違いをしないでほしいのは、人と触れ合うのが好きというのは、決して話術が上手という意味ではないということです。俳優や女優のなかには、普段は口下手だという方も大勢います。しかしそういった方でも、相手の話を目を見てしっかり聞くといったすばらしい気質を持っている方がほとんどです。つまり、どのような人とでも分け隔てなく対応ができる方というのが、適した性質を持っている人間というわけです。こういった適性を持っていると、周りの方も「また一緒に仕事がしたい」と思ってもらえたり、撮影現場でも和やかに過ごすことができ、結果的に良い作品に仕上がるというメリットもあります。

意外に思われるかもしれませんが俳優や女優というのは、自分勝手に演技ができるというわけではありません。テレビドラマでも映画でも、あるいは舞台であっても、必ず演出家と呼ばれる演技指導を専門に行うスタッフがいます。つまり、ただ演技が上手いというのではなく、そういった演出家の意図する演技をすぐに読み取れるような理解力や対応力がある方というのも、俳優や女優に向いています。
ただ美男美女だというだけでは俳優や女優は務まらず、求められる演技に応えられるだけの芝居をしていくことが肝心です。

ここまでいくつかの、俳優や女優に向いている適性について紹介をしてきましたが、いきなりその全ての要素を満たさなければならないということはありません。俳優や女優が一生涯の仕事になるということを考えると、日々こういった適性を身につけられるようにと精進していける方が、最終的には俳優や女優として、成功を収めることができるのかもしれません。