大勢の人の前に立ち商品をより良く見せるという使命を持つモデルは、常に自分の状態を最高に保たなければなりません。また、それだけではなく昨日よりも今日、今日よりも明日といった具合にモデルとしてのスキルを磨く努力をし続ける必要もあります。そのために必要とされているのがスキルアップのためのさまざまなレッスンです。
モデルの世界に詳しくない方はただステージの上を歩けば良いだけだと思いがちですが、決してそれだけではありません。
では、具体的にモデルがより魅力的に輝くためにはどういったレッスンをしなければならないのかについて、専門の養成所で行うレッスンから自宅でもできるレッスンまで、いくつか具体的に紹介をしていきましょう。

ファッションモデルの仕事の場となるのは、主にファッションショーのステージと雑誌撮影を行うスタジオが挙げられます。これらの仕事をこなすうえで最も重要なのが、美しい立ち振る舞いです。つまり、ランウェイを歩くときやカメラの前でのポージングなどです。これらをしっかりとこなすためにはレッスンを行う必要があります。ウォーキングのレッスンでは、歩き方はもちろんのこと、表情の作り方や美しい姿勢をキープする方法などについても学びます。どうすれば身に着けている商品がより美しく見えるのか、ということを一番に考えて、素人目には分からないような細かな所作をひとつひとつマスターしていかなければなりません。特にモデルは、高いヒールを履いて歩かなければならないため、よほどのウォーキングスキルを身につけていなければ、真っ直ぐ歩くことすら難しいと言われています。次にポージングのレッスンについてです。ファッションショーとスチール撮影とでは求められる内容が異なるため、それぞれのパターンに合わせて実践をイメージしたレッスンを行っていきます。このレッスンでは、ライティングの角度やカメラの位置など、場面によって映り方が変化するため、商品が最も映える状態を自分で的確に判断する力を養うために行われます。

企業の商品イメージやファッションブランドの顔ともなるモデルにとって、商品をより魅力的に見せるために、モデルらしい体形を維持することはもちろん、メイクひとつにも気を配らなければなりません。それは、はやりのメイクだからといって、自分の好きなメイクをするのではなく、自分の表情が最も映えるメイクをすることです。
また同じメイク方法であっても、モデルの顔立ちによっては全く違うように見えます。つまり、このメイクレッスンによって、自分の顔の特徴を自覚し、長所を活かすメイク方法をマスターするということも重要なポイントです。
また、どれほどうまいメイクアップアーティストが手掛けたとしても、モデル本人の肌の状態が良くなければ台無しです。そのためメイクレッスンでは、特別なスキンケアについても学びます。例えば肌の状態を良くするために、基礎化粧品だけに頼るのではなく、食生活を改めるといった、体の内側から美しさを磨く努力も行っていきます。

ウォーキングやポージング、メイクレッスンといった、直接モデルの仕事に関係があるレッスン以外にも、モデルとしてのスキルアップ方法というのがあります。そのひとつが、イメージトレーニングです。
ファッションモデルは、さまざまな種類の服飾品を身に着けることになります。商品のイメージも、クールであったり、フェミニンであったりと多種多様です。そういった違うテイストの装飾品でもきちんと着こなせるように、自分の表情や仕草などにもバリエーションを持たせる必要があります。
このイメージトレーニングを通して、映像や音楽を見たり聞いたりし、感性の幅を広げていかなくてはなりません。
こうしたイメージトレーニングを行うと、今まで自分が気づかなかった個性を見つけることができるとも言われており、モデルとしての仕事の幅も大きく広げることにつながります。

モデルという職業は、数ある職業の中でも特に、個人の魅力が前面に押し出されやすい職業です。したがって、普段の何気ない日常生活にも目を配ることで、モデルとしてのスキルを磨いていくことはできます。
例えば、インテリアにこだわったり、絵画や音楽といった芸術的な趣味を持つことで、ファッションセンスも自然に磨かれることでしょう。また、ヨガやエクササイズを日課に取り入れることで、穏やかな精神状態を作り出せるだけではなく、モデルとしての体形維持を行っていくことが可能です。こうした基本的なことは、モデルの養成所で教わるのを待っているだけではなく、自分自身が気付いて取り組んでいくことが大切です。
つまり、技術的な面と精神的な面を、両立して行うことがモデルとしてのスキルアップには求められています。